人に寄り添い、イノベーションを醸成する。 biotope 藤枝さん 【OB OGインタビューシリーズ VOL.5】

25 11月 2015,   By ,   0 Comments

藤枝慶(ふじえだ けい)さん
同志社大学文学部卒。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)修了。Wieden+Kennedy Tokyoの戦略プランニング部門にて、Ben&Jerry’s・Nike・Nike Golf・Oh My Glasses・Tiffanny & Co.、その他複数の新規ビジネスに関する、コミュニケーション戦略とコンセプトメイキング、ブランド戦略、デザインリサーチを含めた生活者リサーチに従事した。ブランドが持つ本質や生活者の真実を見つめ、新たな切り口を見つけるプランニングを軸とし、ブランドらしさと人の気持ちに寄り添うイノベーション実現をドライブする。

2012年にKMD卒業後、Wieden+Kennedy Tokyoで主にブランド戦略を担当し、今夏、イノベーションプロデュース集団 biotopeに立ち上げから参加なさっている藤枝さんにお話を伺った。

 

KMDに入った経緯はどういったものだったのでしょうか
元々は同志社大学の文学部・英文学科にいたのですが遊び呆けていまして(笑)、卒業後はどうしようかと思っていた時に偶然KMDを見つけまして、「こんなところがあるのなら、就職するよりも全然面白いことができるんじゃないか」と感じたんです。

 

KMDではどのような研究をなさっていたのですか?
家庭菜園文化をもっと広めるためのデバイス・システム作りの研究でした。何も文学部とは関係ないですね(笑)もともと田舎で育ったこともあってか、都市部で暮らしていると田舎や自然の感覚が蘇ってくるときがあるんです。その感覚を深堀りしてみたときに気づいたのは、この差は速度じゃなかろうかと感じたんです。元・大阪大学の総長、現在は京都市立芸術大学の学長の鷲田清一さんという臨床哲学者の方が『「待つ」ということ』という本を書いているのですが、その本は“現代社会は待たなくてよい社会になった”という書き出しから始まっていました。現代社会の中では急ぐことが善とされていて“待つ”ということが減ってきているのだけども、実は“なんとはなしに待つ”ということがこれまでの人間性を表していることもあるのではないか、といった事が述べられています。この本を読んだ時に、このスピードオリエンテッドな中で“ゆったりと待つ”という方向性で物事を考えると面白いのではないかと思いました。
僕は岡山出身でして、実家が農家だったので野菜を育てる機会が多くあったのですが、野菜を育てるという行為の中に”待つ”楽しさが確かにあると感じたことから、農業というものを使って”待つ”楽しさについて研究したいと思っていたんです。そこで、KMDでは『野菜育成を促進させるコミュニケーションシステムの提案』というものを研究テーマとして、家庭菜園のプランターにデバイスを取り付け、センサーから様々な成分などを読み取り、SNSに書き出せるようにしました。また、一日に数回ほど取り付けているデバイスが撮影をし、20日分程を集め芽が出て育っていく様子を動画にし、観たり共有できるといったものをチームで作っていました。僕は主にプロジェクト自体のデザインやマネージメントを行っていて、最終的にはSNSのモックアップなども作ったりしていました。

 

“待つ”というところに注目なさったのはとても面白く感じます
そうですね。僕は2010年にKMDに入学したのですが、修士一年生の終わりに東日本大震災が起こり、日本人の殆どが『アンコントローラブルなものがある』と実感し、地方活性などに繋がっていった時期だったのも関係しているのかな、と思っています。鷲田さんの言う“待つ”とは、期待して待つ、直近の期限を設けて待つとはかけ離れたなもの。それは、来るか分からない手紙や待ち人を待つという意味合いに近い。それはアンコントローラブルなものかもしれません。

 

KMD卒業後に広告業界に入られたのはどういった経緯だったのでしょうか?
僕はもともと音楽がすごく好きで、大学の頃にも音楽をずっとやっていたのですが、仕事でも何かしら音楽に限らず、文化的なものに関わっていたいと感じていたんです。また、新しい切り口を見つけるということが好きで、それが広告という仕事に結びついて行きました。ただ、単純な広告を作りたくて身を投じたわけではなく、『何を言うか』よりも『何をするか』という実体づくりの方にとても興味がありました。しかし大手の会社に入ると本当にそういった分野に携わっていけるか分からないのでどうしようかと考えていた所、蝉 semi というブランドをやっていたKMDの先輩にお声掛けをいただき、一ヶ月のアルバイトとしてWieden+Kennedy Tokyoに行き、そしてそのまま働くことになりました。

Wieden+Kennedy Tokyo時代、NIKEのプロジェクトを多く手がけた

Wieden+Kennedy Tokyo時代、NIKEのプロジェクトを多く手がけた

 

東京オリンピック招致が決定した2013年9月8日にローンチした NIKE JUST DO IT CAMPAIGN, “SEVEN YEARS”

東京オリンピック招致が決定した2013年9月8日に7年後の2020年を見据えローンチした
NIKE JUST DO IT CAMPAIGN, “SEVEN YEARS”

 

Wieden+Kennedy Tokyoではどのように働いてらっしゃったんでしょうか?
基本的に外資の広告の仕事は営業、プランナー、クリエイティブ、メディアの4つに大きく分けることができて、その中でも僕は主にプランナーとして働いていました。プランナーとは、社内の仕事をクリエイティブの人たちに橋渡しする役目でして、クリエイティブの表現部分までは考えません。しかし、クライアントが広告に何を言って欲しくて、そして本当にその言葉が届くのか、もしも届かないのであれば本当は何を言うべきなのかという、”What to say”を定める仕事を行います。そして、どうやって言うのかという表現部分、つまり”How to say”を作るクリエイティブの人たちに仕事を繋いでいく、という仕事です。

もう少し詳しく言うと、クライアントは何をしたいのか・何を言いたいのか、といった風に課題を抽出し、そしてそれを伝えるべきターゲットは誰なのか・一体何を考えているのか、といった実体をクライアントに伝える、といった事をしていました。

 

– biotopeという会社の立ち上げに参加なさったきっかけは何だったのでしょうか?
前職のプランナーの仕事はブランディングに関わる仕事なのですが、ブランディングを行う時、企業の根幹である”Why we are”を抽出するところから始め、サービス作り、対外的なコミュニケーション作り、ファンのコミュニティ作りを行っていきます。この過程の中には企業の中の組織づくりも重要な要素として入ってくるのですが、このブランディングの全体を見ながら一貫して行っていく仕事をしたいと常々思っていました。そんな折に、代表からお声掛けをいただき、『ここならそれができるのかもしれない』と思い参加することにし、飛び込んだというのが経緯になります。

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– biotopeという会社はどのような事をこれからされていくのでしょうか
自分たちは、biotopeの事をイノベーションプロデュース集団と呼んでいます。やることとして、イノベーションプロデュース、デザインリサーチ&コンサルティング、イノベーション文化醸成の三つを掲げています。イノベーションプロデュースについてですが、そもそも我々は組織の外の誰でもない誰かからではイノベーションは起こらないと感じており、組織の中の『何かを変えたい』という強い思いを持った個人からしかイノベーションは生まれないと考えています。そうした、イノベーター個人の思い・ビジョン・構想といったところからスタートし、共創コミュニティを作ってイノベーション推進に伴走します。デザインリサーチ&コンサルティングとしては、先進的な生活者のインサイトこそがイノベーションの種につながっていくという考えのもと、先進層のリサーチと商品やサービスデザインのファシリテーションを行います。最後にイノベーション文化醸成では、いわば組織開発なのですが、例えばどうやってフラットな組織を作っていくのか、どうやってアイデアを抽出しやすい環境を作っていくのか、それらをどうやって現状の組織の中で行っていくのか、といった事を行っていきます。最近、ビジネスコミュニティの人たちがデザインに興味を持ち始めていますが、一方で環境づくりにあまり重きを置いていないという現状があります。その環境づくりの中心となって、あるいは媒介となって行けたらいいなと思っています。世の中と、一企業や一個人との間のチューニングをはかるといったイメージでしょうか。

 

– 社会に対してイノベーションの種を蒔くといったイメージのように感じられます。
biotopeの ”bio” には ”命の” という意味があり、 “tope” には “場所” という意味があります。なので、”命の場所” となれるように、ロゴ自体も種がたくさんあり、水から緑が生まれてそして太陽に向かって育っていくといったイメージにしてあり、少人数の人から大きなインパクトが起きていくんだという理念が込められています。

 

logo

 

 

 

株式会社 biotope / biotope co., ltd.

http://biotope.ne.jp/

東京都世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズ・オフィス 8F カタリストBA内

 

 

 

聞き手: 岸田卓真

 

== KMD FACTORY 開催! ==
■ 日時:2015年11月27・28日(金・土)10:00〜18:00
■ 場所:五反田 東京デザインセンター 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)が企業や地域社会と連携のもとで進めている「リアルプロジェクト」を学内外の方々にご覧いただくためのオープンハウスイベントです!
http://kmd-media.com/forum/

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